あじさい

 6月の花は「あじさい」。ユキノシタ科、ウツギと同じ仲間です。学名はHydorangea「水の容器」。うまく名付けたものです。

 最近、あじさいの人気が注目されています。あじさいは日本生まれの園芸品種。いまや世界の人気者です。

 原種はガクアジサイ。ガクアジサイの花の真ん中は小さな「花」のつぼみのよう、周囲を額縁のように「花びら」が囲んでいます。実は、「花びら」に見えるのは、花びらの後ろの「蕚・ガク」が大きくなって花びらのようになったもの、「装飾花」です。

 最近、園芸店でよく見られるのはセイヨウアジサイ。色彩豊かな装飾花が大輪の花を咲かせています。

 幕末、長崎出島の医師・博物学者のシーボルトは銅版画に彩色を施した大著「日本植物誌」「日本動物誌」を著していますが、その中に14種のあじさいを残しています。西洋にはない魅力的な花だったのでしょう。14種の中で一番中心となる「アジサイ」に「OTAKUSA」という名を付けています。OTAKUSAは長崎の日本人妻「お滝さん」から名付けられたといわれています。

 あじさいの株は19世紀、日本より中国を経てイギリスへ伝えられました。色鮮やかで大輪のあじさいは欧州でも人気を得て、フランスをはじめ欧州各国で栽培と品種改良がすすめられました。色鮮やかな大輪のセイヨウアジサイは500種以上もあるといわれています。

 あじさいの花は、同じ株を株分けしても植える土壌によって色が違います。また、咲き始めは花びらに移った葉緑素によって薄い黄緑色。成長するにつれ、葉緑素が分解されて緑色が薄くなります。あじさいの色素はアントシアニン。紫蘇や黒豆、茄子の色素も同じです。この色素にアルミニウムイオンがくっついて青色となります。茄子の浅漬けにミョウバンを入れるときれいな紫色になるのと同じです。日本の土壌は酸性が多いので、アルミニウムが酸性により溶け出し、青いあじさいが多く見られます。このため、土が酸性のときは青い色に、アルカリ性のときは赤色になるといわれます。石灰などで土壌をアルカリにしてやるとアルミニウムが溶け出さないので、赤色となります。また、窒素分の少ない肥料を使うと藤色に、カリウムが多いと青色が濃くなるとのことです。花の色は花の成長により、アントシアニンや補助色素が多く作られ、だんだんと赤や青色の濃い花色となります。そして、色あせてきます。あじさいの七変化といわれるところです。

 あじさいは薬用としてはほとんど用いられません。ガクアジサイの変種に「あまちゃ」があります。あまちゃの生の葉は苦く、甘みはありませんが、生の葉を摘み、水をうって樽の中に積み重ねておくと酵素によって、苦味成分がフィロズルチンなどの甘味成分に変わります。これは砂糖の約1000倍の甘さ。このため、糖尿の方に、ノンカロリーの甘味として用いられます。その他、仏さまの誕生日、花祭りには甘露の法雨の代わりに、釈迦像に注いで祝われます。また、身体を温める効果があるとして海女さんに飲まれているとのことです。最近では抗アレルギー作用や歯周病に対する効果も確認されています。

 西脇市の西林寺では6月20日にあじさい祭りが行われます。西林寺は651年(大化の改新の6年後)法道仙人開創と伝えられる古刹ですが、約100種類、数万本といわれるあじさいをぜひ訪れてください。

(2010年6月号ピーネット掲載)

閉じる