牡蠣



カキのシーズン真っ盛り。1月から2月末にかけて各地でカキ祭りが開かれています。
カキ酢やカキフライ。カキご飯に、最近ではカキオコなるB級グルメまで。
カキ好きにはたまらない季節です。
相生・赤穂・日生。播磨灘は良質のカキで有名です。
カキは鯛やハマチの養殖と違い餌を投入するのでなく海水のプラクトンを餌に育ちます。
そのため、栄養豊かな海、森の恵み豊かな川が、海に流れ込むところで養殖されます。
「森は海の恋人」という言葉があります。海の植物プランクトンには森の養分が必要です。また、森が荒れると海に流れる水が悪化してカキの養殖場を始めとして海の生態まで荒れてしまうとの意味です。東北・気仙沼では海を守るため、山に植林をして守ってこられました。
 カキの養殖の稚貝は約八割が宮城県産です。宮城産の稚貝は国内だけでなく、流行病で壊滅的打撃を受けたフランスやアメリカにも送られ絶滅を救いました。
昨年の震災の津波によって、宮城県では多くのカキ養殖のイカダが流され、稚貝の生産が少なくなり、全国カキの生産減少が心配されています。
国内ではボランテアで「復興牡蠣支援プロジェクト」が立ち上げられ、フランスのカキ養殖関係者からは「オカエシ・プロジェクト」として養殖用資材が大量に送られてきたとのことです。
カキは栄養豊かな食べ物です。1粒300bグリコのキャラメルは、カキ煮汁のグリコーゲンの栄養に着目してのアイデアだとのことです。
また、タウリンのほか、ミネラルの亜鉛を、吸収され易い形で多く含みます。このため、最近増えている亜鉛欠乏による味覚障害の方には積極的に食べてもらいたい食品です。
漢方ではカキの身でなく、風化させたカキガラを、牡蠣(ボレイ)と呼び用います。
安中散(アンチュウサン)などの処方で粉末として用いられるのは、成分の炭酸カルシウムが胃酸を中和してくれるので納得のいくところです。
柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)などの処方では、煎じ薬として用いられます。この処方は、元来体力強健な人であるが、物音に驚き易いなどの神経過敏症状を現すときに用いられる重要な処方ですが、牡蠣(ボレイ)が竜骨(リュウコツ)と伴に用いられます。竜骨は、龍の骨というわけではありませんが、マンモスや象など大型動物の化石だとされています。
中国の甲骨文字は生薬市場での竜骨に文字らしきものを見つけたことから研究されたとのことです。どちらも漢方薬として用いられ、古来有効性は認められてはいますが、その成分は不明です。とんこつのスープなら骨髄からのうまみ成分が出るのでしょうが、化石ですので蛋白質などはほとんど残っていません。
私も、約40年も前に生薬学教室で有効成分を見つけようと一生懸命に分析しましたが、カルシウムの他は、手がかりさえ見つけられませんでした。苦い思い出です。
近年、分析技術が進み、竜骨と牡蠣にリチウムが多く含まれることが判りました。これが関係しているのではとも言われています。






(2012年3月号ピーネット掲載)

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