ナタマメ


先日、家内がJAでナタマメを見つけてきてくれました。
あまりなじみのない豆かもしれません。
長さ約30センチ、よく実の入ったソラマメのジャンボサイズのような形です。
アフリカ・アジア熱帯地方原産で、日本へは江戸時代に清より伝わったとされています。
中国でのカタナ=青竜刀に似ているから、刀豆。
英語でもSWORD BEAN。カタナの豆です。
2m以上にも大きく成長する事から、ジャックと豆の木のモデルにもなったといわれています。
漢方薬として用いられることはありませんが、民間薬としては人気の高いものです。
薬用に用いられるのは「シロナタマメ」。
「痰切り豆」とも呼ばれ、痰の切れをよくしたり、歯槽膿漏などで膿を出させるのに民間薬として用いられます。有効成分は「サポニン」。
サポニンを含む植物は、多くシャボン(石鹸)として使われて来ました。泡立ちの良い、汚れを落とす働きがあり、痰の粘りを溶かします。ただし、摂りすぎると吐き気を催すので、多く摂りすぎないようにしてください。
痰のからまる時には、1日量は10〜15g程度。のどを潤すように服用します。
また、シロナタマメの若いさやは、独特の歯ごたえのため、カレーでお馴染みの福神漬けに用いられます。
ナタマメには、多くの品種がありますが、シロナタマメ以外の品種には、カナバニンという有毒の成分を多く含むものもあります。
食用・薬用として栽培されてきたもの以外は要注意です。
カナバニンは必須アミノ酸のアルギニンとよく似た構造のアミノ酸です。
生物が必須アミノ酸のアルギニンを取り込むべきところを、誤ってカナバニンを取り込んでしまい、正常な細胞の活動・増殖が出来なくなるため細胞毒となります。
カナバニンは、人間や動物、昆虫の他、植物や酵母など、多くの生物に毒性があります。
お酒や焼酎を作る時に、酵母がアルギニンを取り込むと、アルギニンを原料として、嫌な臭いのお酒が出来てしまいます。このため、お酒の酵母を培養、選別する時にアルギニンに似て、毒性を持つカナバニンを培地に入れて培養すると、アルギニンを取り込む性質のある酵母は、毒性を持つカナバニンを誤って取り込み、死滅します。こうして、カナバニンとアルギニンを取り込まない酵母だけが残る事となります。こうして酒造の酵母を選別して、「多香性酵母」が作られ、香味豊かな日本酒や焼酎を造るのに、多く用いられているとの事です。
そういえば、昔の芋焼酎は、特有の芋臭さが強いものでした。
香りの良い芋焼酎が増え、人気が高くなっています。これもナタマメのおかげでしょう。


(2011年12月号ピーネット掲載)

閉じる