りんどう

 りんどうはリンドウ科リンドウ属の多年生草本です。センブリやトルコギキョウ・胃薬のゲンチアナなどが同じ仲間です。

 センブリは、テレビの罰ゲームで飲まされているのでご存知の方も多いと思います。センブリは大変苦い薬草で「千回(熱湯に)振り出してもなお苦い」と名付けられた日本固有の民間薬です。りんどうも植物学的にセンブリの仲間のため、センブリと同じ成分を何種類も含みます。りんどうの根をかじると大変苦いものです。

 りんどうは漢字では「竜胆」と書きます。竜の胆嚢・キモは見たこともありませんが、「熊の胆(くまのい)」といわれるものがあります。ツキノワグマの胆嚢です。「熊の胆」は胆石や胃痙攣などに用いられる有効かつ貴重な生薬で、非常に苦いものです。この「熊の胆」よりさらに苦いため「竜の胆」と名付けられました。

 また、同じ仲間にゲンチアナという植物があります。欧州では古くより胃薬として用いられてきました。
 これらの苦味の強い生薬は、苦味健胃薬と呼ばれます。苦味が反射的に胃酸の分泌を促す働きがあり、胃酸の分泌の少ないときの胃薬として用いられます。最近流行の「ゴーヤ」なども、夏の食欲の落ちたときに重宝されるのも同じでしょう。

 また、最近では、りんどうの苦味を生かして、植林の苗木を鹿などに食べられないようにすることも試みられています。鹿は幼木の柔らかく甘い樹皮を好んで食べます。これを食べられないようにしようとのことです。りんどうの根をグツグツと煮出し、苦味成分を取り出し、糊の成分と一緒に苗木に塗布してから植林をするとのことです。現在多く見られるプラスチックの保護ケースに比べて、見苦しくなく、樹の成長後もゴミにならないと注目されているとのことです。

 漢方ではりんどうの根を竜胆と呼び用いられます。陰部の痒みや、膀胱炎、アレルギーの体質改善などに用いられる竜胆瀉肝湯や、歯痛に用いられる立効散などに配合して用いられます。多く用いられるものではありませんが重要な生薬です。

 花屋さんで多く見られるりんどうは、夏場から咲くエゾリンドウで、薬用に用いられるりんどうは秋になってからの花期となります。

 秋の初め、伊吹山に登ると、お花畑一面のりんどうがあざやかなものです。

(2010年9月号ピーネット掲載)

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